Aさんは東大出身、いつも空調完備の部屋でデスクに向かって頭を悩ます。
Bさんは私立三流大学出身、今日も汗水垂らして営業に駆けずり回って頭を下げる。
ある時Aさんは言ったんだ。
「『お前は給料が高い、だから何?』って口癖のように言うけど、そうじゃない。給料ってのは元々責任の大小で額が決まるんだ。けど、高所得者は日雇い労働者を決してないがしろにしたりしない。人生はそれぞれの生き方があるから。」
「高所得者の事情も全く知らない人がこっちの土俵で話してくるなら月給いくら?って普通聞くよね。」
「そこで給料なんて関係ないなんて言うのは正直貧乏人の妬みにしか聞こえないよ!」
「給料が高い奴はそれなりの大学出ててそこに行き着くまでの努力を知ってるからアホなこという奴なんていないんだよ。文句を言うくらいなら努力しなかった自分を恨め!」
「汗水たらして働くのも大変だけど、コッチは会社の威信をかけて勝負している。いわば会社の生命線。」
「学歴なんか時間と根性あれば誰にでも手に入るだろというのも聞くけど、
まさに君たちは時間も根性もないから持ってる能力を活かせないんだよ。」
「根性なしが人の形して偉そうに文句言ってくるな!」
確かにね。
Aさんは想像もつかないような努力をして今の地位を築いたかもしれない。
Bさんが稼いた1万円はAさんにとっては吹けば飛ぶようなものかもしれない。
Bさんが取り付けた契約もAさんの製品があってこそかもしれない。
けどね、
いくら給料が高くても、
いくら重い責任を背負っていても、
いくら努力をしていても、
人を敬えない人。感謝出来ない人。人の思いを感じ取れない人。
そんな人が、今も汗だくで駆け回ってるあの人に勝てるわけが無いじゃない。
人としての根っこがないんだもの。
どんなに綺麗な花瓶に入った薔薇だって
あの道端の、名もない花の力強さには勝てないんだから。